ムラサキの文学日記

短編小説、現代詩、俳句、短歌、随筆

猫と翼について(猫だって翼があれば飛べる跋文)

猫と翼について

翼のある猫の写真を見たことがある。およそ飛べそうな翼ではなかったが。

もしかしたらフェイク写真だったかもしれない。

黒い猫だった。

 

そう言えば「虎に翼」なんて諺もあった。

意味合いは「強くなり過ぎる」。

虎のために翼を作ることなかれ。

危険な虎に翼を与えれば最悪の事態となる。虎にとっても強くなり過ぎれば恐れられ誅せられる。均衡を崩す力は双方に不幸となる。

 

猫に翼はどうであろうか。

 

中島みゆきの「あした」という歌がある。そこに出てくる猫はみすぼらしい痩せっぽっちの猫である。どちらかと言えば猫は捨て猫とか子猫とか弱いもののイメージがある。

 

雨に打たれてボロボロになった野良猫は人知れず死んでいく。猫の生活圏は広いようで狭い。縄張りがあるので弱い猫はどこに行っても疎んじられ追い出される。

もし猫に翼があれば、そのようなどん詰まりから抜け出して明日に向かって飛べるのに。

 

でも猫に翼はない。

飛べないし何処にも行けない。

 

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猫だって翼があれば飛べる|murasaki_kairo|note(ノート)https://note.mu/murasaki_kairo/n/n9db5e931586d