ムラサキの文学日記

短編小説、現代詩、俳句、短歌、随筆

サツキとツツジ

歳時記を見ても「さつき」「つつじ」が見当たらない。

旬を先取りするのが俳句の粋である。遅れた季語は野暮ったい。

この5月なら初夏の句を爽やかに詠みたい。それが晩春じゃいけない。無粋である。

 

改めて調べてみると歳時記では表記が違う。

「さつき=杜鵑花」

「つつじ=躑躅

の漢字が使われていた。

 

字が難しくて目が痛い。

鵑とはホトトギスのこと。

杜鵑(とけん)もホトトギス

杜鵑花(とけんか)で「さつき」、となる。

 

つつじの

躑は躑(たちもとお)る、躑(しゃが)むと読むそうだが、小拙、恥ずかしながら

「たちもとおる」という日本語を初めて耳にする。動詞だと思うが想像がつかない。故に再び辞書をめくって言葉の舟旅。

 

(検索しています。暫くお待ち下さい。)

 

言葉の旅は予想外に難航したが結論から言えば「たちもとおる」とは古語であった。

たちもとほる。漢字は「立ち徘徊る」、「立ち廻る」と書く。

 

意味は行き悩む、徘徊する、ウロウロする。

 

そして「躑躅」の「躅」の訓読みは

躅(ふ)む。意味は足踏みすること。

 

音読みで「躑躅」は(テキチョク)。「躑躅(テキチョク)」自体が熟語になっていた。意味は少し歩いて止まること。因みに「行」の字を彳とつくりに分けてそれぞれ一字の漢字としても(てきちょく)と読むらしい。(※お暇な方はテキチョクでネット検索されたし)

 

ここまで調べてかなり頭が痛くなったので

気分転換に花の画像をネットから転載する。

 


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さつき



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 つつじ

 

薄々感じてはいたけれど違いが分からん。

仕方なくSurfing' NET againである。

 

(検索しています。)

 

サツキはつつじの一種。サツキツツジというらしい。

咲く時期が異なる。

ツツジは4月、サツキは5月に咲く。

葉が出るより花が先に咲くのがツツジで、葉が出るのが早いのがサツキ。

 

ツツジ属は小ぶりの春葉と大ぶりの夏葉がありツツジが開花しているときの葉は春葉。サツキは夏葉が出てから開花する。したがってサツキの開花の時期にはツツジに比べて葉が大きく見える。

 

なるほど。

花の形を見ても違いが分からない訳だ。葉の大きさで見分ける。花であって花に着目しないことが頓智クイズみたいだ。ふふ。

 

暫く休んで余裕が出てきたので話を戻すが、躑躅(立ち止まること)の名前は立ち止まるほどに花に艶があることに因むのだろう。

趣深い名前である。

 

先にお示しした写真はネットの拾い画像であるが、先日ヤマツツジの写真を撮ったので掲載する。


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山道の木下闇にヤマツツジが咲いていた。

思わず振り返る美しさであった。

 

立ち止まる花。

 

名前の由来に大いに納得をする。

ツツジは晩春の季語ではあるが、かような景色を見て猶、季節を逸したからと詠まぬは無粋。詠まずにおれぬ景色である。

 

「山躑躅 半身探していづこ」村崎懐炉