ムラサキの文学日記

短編小説、現代詩、俳句、短歌、随筆

小説

蟻の話(短編小説「海蟻」跋文)

蟻の巣の奥底には女王蟻がいる。働き蟻たちは女王蟻と子供の蟻たちのために働いている。 僕はこの話から蟻の王国のようなものを想像していた。 女王蟻は赤いビロードのソファにもたれかかって、毛皮の常套に身を包んでいると思っていた。 蟻の王国は女王のた…

海洋性の昆虫について(「深海キリギリス」推敲ノート)

生命は海から生まれた。 動物も植物も。 海から生まれた生き物たちは進化の過程で陸上に上がり、再び海に帰ったものもいる。 ウミヘビやウミガメなどの爬虫類。 クジラやイルカなどの哺乳類。 そのようにして海には沢山の生き物が暮らしている。 だが海には…

第三の選択肢(短編小説殺人するか心中するか其れが問題だ跋文)

選択肢があるということ。 昼食を食べようと食堂に入った。 ランチを注文しようとするとAランチとBランチがあるようだ。 AとB、どちらにしようかと迷う。 AとBのどちらかで迷っている人は気付いていないが本当は選択肢はもっと沢山ある。 ランチ以外のメニ…

猫と翼について(猫だって翼があれば飛べる跋文)

猫と翼について 翼のある猫の写真を見たことがある。およそ飛べそうな翼ではなかったが。 もしかしたらフェイク写真だったかもしれない。 黒い猫だった。 そう言えば「虎に翼」なんて諺もあった。 意味合いは「強くなり過ぎる」。 虎のために翼を作ることな…

カッパドキア(短編小説 岩窟の村跋文)

穴居人たちがカッパドキアに暮らしていた。穴居人などと呼べば如何にも非文明的な響きだが、今やカッパドキアの穴居生活はインフラが整備されて現代的なモダン・ライフである。 カッパドキアは砂岩の織りなす地形で、長い年月をかけて風が岩を削り奇岩が目立…

死者との邂逅(夜のプールと古代生物 跋文)

死んだ祖父に会った時、思ったよりも活き活きしていて僕は「なんだ」と間の抜けた感想を持った。「なんだ」が何を意味するのか、世の中のモラルに照らし合わせて説明できる自信がないので詳細は割愛する。 ともあれ病院で死亡診断の済んだ死体に僕は面会した…

絵のない絵本「魚の化物」跋文

テーマは相互扶助です。 年を取った登場人物たちが助け合いながらそれぞれの持ち分を活かし英雄に変わっていきます。活躍できるできないは時の運。次の機会には大活躍するかもしれませんよ。 絵のない絵本「魚の化物」|murasaki_kairo|note(ノート)https…